DIMSUM、 TO GO

1997年 アメリカを渡る旅  サンフランシスコ



今日は9時過ぎに出る
ゴールデンゲートパークにある
美術館に行こうと思って
バスが来ていてまさに飛び乗る

デ・ヤング美術館はアメリカ美術中心
ヨーロッパもあると聞いたが
別館に移動したらしくここにはなかった

なーんだ、と期待せずにブラブラみていると
イヴ・サンローランとか
サックス・フィフス・アベニューの
靴の展示があった


歩くの、怖そう



アジア美術の展示もあって見ていると
壺があり、”JOMON”と書かれていて

ヨーモン?

ヨーモンってなんだろうな、と
とぼけたことをしていたら
その下に ”JAPAN” と書いてあった

あぁ、ジョーモン!

なんだってラテン読みしたんだろうか

土器は縄文から弥生と並び、埴輪もある
巻物や掛け軸、茶道の道具などなどの
JAPANコーナー
なんだかこういう自国物って
こういうところに来ないと見られない気がする


その後にインド、ラオス、タイと続くが
どこの国にも仏像がある
インドは無表情
タイは少し微笑んで悟ってる笑顔
国によって違うんだなぁ



太平洋に向かうバスNo.5に乗る
終点がオーシャン・ビーチなのだ



海に着くと
すーーーーーーーーーーーーっごい風で
砂は飛んでくるわ、しぶきも飛んでくるわ
それでも泳いでいる人もいるし
釣りをしている人もいる

せっかく来たし!と
靴と靴下を脱いで波打ち際まで行く

天気がよく風がなければ寝転んでいたろうな
と思いつつ
あまりに風が強いので引き返す

歩いていると崖が見え
その上に立つ建物が見えた
あれがクリフハウスか

そして、その手前
海から顔を出している岩山が
たぶん、シールロック
海沿いで白い岩は、珍しいかも

とにかく風が強くそれどころではない
バス停に黙々と向かう




AIDA HOTELでの2日目の朝
ドーナツをもらいに1Fに行くと
女の子がいた
挨拶をすると日本人だった

高校を卒業したばかりの18歳
アメリカに来るのが夢でお金を貯めてやってきた
1カ月近くこのホテルにいて
あと4、5日で帰国するという
なかなかやるではないか

飲茶の相手を探していたので
どうかなと思いながら聞いていると
金銭的にはかなり厳しく節約しているようで
言わないでおいた

花火の日から、夜になると
彼女と旅やアメリカの話をした


帰国も近づき
頼まれたものやお土産を買いに
本格的に回らねばならない
すると彼女も付いていきたいというので
一緒に回ることにする

彼女は1カ月近く滞在していたので
さすがに街に詳しく
それならあっちの店にあるよ、と言う調子で
一日かかるかと思っていたが
2、3時間程度で終わってしまった


一緒に回ってくれたお礼に
お昼をご馳走するよとわたしが言うと
彼女は戸惑いながら断った

厳しく節約していれば
わたしでもいやいやそんなそんな!となるところ
それはわかるので、わたしの話をする

イタリアのフィレンツェで
すこし先輩の女性に出会った
楽しくおしゃべりして会計というところで
ご馳走しましょう、と彼女は言った

あなたの旅はまだまだ続くし、
自分は十分(お金)持っているから。
もし気になるなら、いつか
あなたと同じようにがんばっている誰かに出会ったら
ご馳走してあげて?


ここはわたしの出番なので
遠慮はしなくていいし
もし気になるなら、いつか、あなたも
で、何、食べたい?

サラダ、野菜が食べたいと、彼女は言う

サラダでいいの?他には?
うーん、サラダが、いい
よし!

いろいろ見ながら探していると
セルフのようだけど
店内で食べている人のお皿、料理が
とってもおいしそうだった

ここにしようと入り
彼女はチキンサラダ
わたしはタコサラダをオーダー
サラダと思っていたら立派なプレートで
充分な量だった

1カ月アメリカにいて
この食事が一番豪華だと彼女はいう

アメリカの3大幸せに入るという

嬉しそうに食べながら
自分もいつか誰かにご馳走する!という


ひとまず、一度はできました
ゆうこさん



そろそろホテルに戻ろうかと
チャイナタウンを寄り道しながら帰る

メインストリートはツーリストでいっぱいだが
1本ずれたこの道はとっても庶民的
地元の人が使うのだろう

果物屋、魚屋、八百屋、飲食店
結構人がでていると思ったけど
彼女によると落ち着いている方だという

アメリカンチェリーを買って歩いていると
DIMSUM(点心)、TO GO(持ち帰り)の
文字を見つける

嬉しくなって、大きいえび餃子を二つ
小ぶりな肉まんを二つ買う
しめて$1.40!
安い!

わーい!念願の点心だー!
やったー、嬉しい!



ホテルに戻りパッキングしながら
肉まんを食べる
ほんと、美味しくて、幸せ


ひさしぶりに
日本円が入っている財布を取り出すと
終わるんだなぁと思う

つけていたテレビでは
裁判のニュースを伝えている

オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件
わたしがヨーロッパへの旅に出発し
最初に経由したニューヨークのホテルで
その日、爆破で吹き飛んだビルを
テレビで観たのだ

あれから2年が経って
犯人が捕まり昨日、有罪が決定したそうだ

時は流れる


最後はゆっくりしたせいか
あんなハードな旅をしたとは思えない

グレイハウンドで
ロスからニューヨークと行く、というと
You are braveと言われて
そうかな・・と思ったけど

うん、よくやったかな
アメリカをちゃんと横断したし




サンフランシスコ国際空港の
チェックインカウンターの係員は
日本人の女性だった

雨ですね・・

渡したチケットを確認しながら
静かに話す

サンフランシスコは3月くらいから
雨が降らないんです

私はこのまえ、日本に帰ったんですが
雨が降った時
これくらいならって
傘もささずに歩いていたら
バカにされちゃって
と、笑う

こちらの雨ってスコールですね

そうね


いい街ですね、好きになりました


そうでしょう?
また来てください


もちろん





帰ってきてから思い出したこと

カギのないトイレが多い!




(おわり)

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こちらは、1997年の旅のお話です
場所や配置、状況などなど
現在とはおお~きく異なりますので
ご了承ください
当時の雰囲気をお楽しみください!
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絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。