町田の章



このしだれ桃を含む、東京は町田の章


沖縄で観てくださる方には
関東の春の木花、流れ的に唐突ではないかな
と、思ったりもしたのですが

わたしにはいつもの風景だったし
おそらく、オジにとっても


いろいろ考えて
ややスペースがある那覇展で展示することに決め
宮古島展ではあきらめようと
思っていました

ところが思いの外、那覇展アンケートで
春の木花を挙げてくださった方がいらっしゃり
連れて行こう、と思い直しました




今年の春、見つけた木花

北海道を離れて東京の町田に住んでいた
父方のオジが病に倒れ
余命の話も出るような状態になり
ホスピスに移ることに

兄であるわたしの父が対応することになり
そのヘルプで父と共に町田に通っていました

オジに会うのは実に30年ぶりでした

病院のベッドで寝ていたオジは
すっかりおじぃになっていましたが
顔つきは記憶の中のオジで
朦朧とした世界と行き来していましたが
わたしが視界に入ると名前を呼ぶほどには
しっかりした時間もありました


引っ越し作業などは
友人の方々のおかげで済ますことができ
わたしは役所での転居や電気ガス等の開閉手続き
オジの部屋の片づけをしたり

まるで住んでいるかのように
町田市内を行ったり来たりしていました


もう何度目かの道を歩いている時
街路に立ち並ぶハクモクレンに
突然気づきました

白く、もったりとした花がいくつも咲き始め

コロンと丸い蕾に
ひとつだけ花びらを広げた梅の花

団地の脇には
空から落ちてきたように
ピンクの花がちらちらと咲いていて

樹のネームプレートには
”もも”と書いてありました


そうか、関東の春はこんな景色なのか

このあたりの人たちはこの風景で
春だなぁって思うんだろうなぁ


引越しとは言うけれど
いざと言うときの準備で
頭がいっぱいだったわたしに
木花たちが春を教えてくれているようで


オジの部屋のベランダには
たくさん植木鉢がありました

きっとオジも
春が来るたび咲く花で
季節を感じていたんではないかな


元警察官で、その年代にしては体の大きい人で
語気強い物言いをするかと思えば
優しいことも言ったりして
上手く説明できませんが
繊細な人だったように思います


どんなふうに生きてきたのかわからないけれど
春の木花を見つけた時は
オジと重なるような気がしました


ホスピスに移って三週間
オジは春のうちに旅立ってゆきました

 ”オレんところの春”を見せたくて
しばらく会ってなかった姪っ子を呼んだのかな




関東の章も加えて
レイアウトがギュッとしてきた
宮古島展

桃と梅とつつじとハクモクレン
みんなでお待ちしています!





【個展開催のお知らせ】

いつもの風景がいちばんきれいで美しい
おおむらひろみ作品展

◎宮古島展
2024. 12. 12 ㈭ ~ 15 ㈰
11:00 ~ 17:30
BAR&CAFE Pisara
宮古島市西里224 2F

〇入場無料
〇原画、スケッチ画 販売
〇Okinawa Calendar2025 販売
※作家在廊予定です



絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。