当時
タスマニア島のロンセストンにいたわたしは
滞在も丸一年を迎えたところで
よし、気は済んだ、帰国しようと決めた
帰りのチケットを買ってしまうと
もう5万円くらいしかなかった
地球上に5万しかない
これじゃ、敷金礼金、払えないなぁ
寮があるところで仕事をして
まずはお金を整えよう
それってリゾートバイトかな
北海道にもあるけど、沖縄はどうかな
行ったことないし
図書館のパソコンで仕事を探していると
阿嘉島と西表島の宿泊施設が良さそう
ワードで履歴書を作り、メールで送った
西表の施設から連絡があり
帰国後、面接を受けることになった
タスマニアからシドニーを経由して
関西空港に着き
そのまま本社があった尼崎へ向かう
そうそう、ロンセストンの中古屋で買った
もうこの移動も持つか持たないか
よれよれの革のスーツケースを引きながら
面接官、その後の上司に
「写真より肥えたなぁ(笑)」と言われながら
いろんな話をしているうちに
採用となった
二週間、時間をくださいとお願いして
札幌に帰り、住民票やら何やらを整えて
西表に向かった
初めて降り立った那覇空港
乗り継いで石垣に向かう
着陸時の「石垣ブレーキ」
身体にGがかかって笑ってしまった
飛行機を降りると
むわっとした空気で思わずむせた
これほど高い湿度は初めてで
混乱して呼吸を整える
いや、息は吸えますって!
5分おきに顔を洗いたくなった
バスに乗り、離島桟橋に行くと
離島行の船がずらりと並んでいて
たくさんの人が行きかっている
バスターミナルみたい!
こんなに船が日常なんだ
大原行の船が走り出すとわくわくした
タスマニアとは全然違う
エメラルドグリーンの海の色
だいぶん南の島から来たけど
沖縄の方が南感、強い
右に左に島を眺めていると港に着いた
勤め先のスタッフが迎えに来てくれた
この日が20年前の7月
3か、4か、5日だった・・と思う
先日
あら? 丸20年、たったのかぁ
と、気づきました
石垣の空港も、桟橋も新しくなったし
そのあと宮古島に移ることも
そして那覇に来るなんて
きっとこれからも
想像できないことだらけ
絵は
漫湖のマングローブ、朝
那覇の街が見える
思い出すのは
西表の早朝カヌー
生い茂ったマングローブのあいだを抜けて
サガリバナを見に行くのが好きだった
環境はまるで違うのに
朝の静けさは似ている気がした