今にこうなるわよ

1997年 アメリカを渡る旅  ニューヨーク


マンハッタン島の最南端にある
フルトン・マーケットで
ピザでも食べようと思ったけれど
JAZZの演奏をやっていたり
カフェも賑やかで
人の波をかき分けるようにして歩く

ピザどころではないので
少し北に引き返して
フツーのピザ屋に入る
サラミチーズピザの大きい一切れと
ドリンクで、$3
安い

アツアツを食べながら店内のテレビを見ると
シカゴとマイアミのバスケの試合をやっていた
このあたりはシカゴよりなのか
マイアミが点を入れるとうめいたりしてる

客は地元の人らしく
ファミリーだったり
おじさん一人で
若者もいて
みんなテレビを見てる

わたしも地元の人みたいな気分になる



明日、ミュージカルを観たいので
このボロボロジーンズを何とかしたいのと
劇場の下見を兼ねて
マンハッタンを南北に走る
Braodwayを北上する

ミュージカル街の賑わいがあるのは
42丁目あたりから
カジュアルなお店が
GAPなどのメジャーどころに変わり
デリからカフェになる

マンハッタンモールという建物に入ってみる
ファッションビルの中は吹き抜けで
エレベーターもエスカレーターも動きっぱなし
Ann Tylorや Expressも入っていて
ちょっとおよびでないなと思いつつ
エスカレータで上へ上へあがっていくと
7階はフードコートになっていて
メキシカン、チャイニーズ、ジャパニーズ
サラダバーなんかが並んでいる

時間も夕方で閑散としていて
ネクタイの男性、キャリアウーマンが
思い思いに食事をしている

Broadway側はガラス張りになっていて
向かいに建っているビルが
陽を反射して真っ白
食事をしている人が逆光で影になって
その対照がなんだかいいなと思った


ミュージカルエリアに向かう
近づくにつれ人の量が、車の量が
クラクションの音が増える

この中で一番えらいのは信号機かも

劇場は
左に「Victor/Victoria」
右は「Beauty and the Beast」
その奥へ少し行くと「cat’s」

タイムズスクエアにある格安チケット屋には
それほど人は多くないが絶えることはない
開演1時間前でもチケットはとれそうだ

劇場へ向かう人の服装は
演目によってはジーパンの人もいる
スラックスが多いがかっちりとした正装でもない
わたしが行くのは昼の部なので
ジーパンでも良さそうだけどな・・
約束の時間が近づいたので
ブツブツしながらホステルへ戻る




今朝のこと
ホステルのキッチンで
日記を書きながら朝食をとっていたら
日本の人?と声を掛けられた
佐野史郎に似た感じの人で
仕事で来ていて、その仕事も終わり
2、3日で帰るという

何を話してもは~んふ~んと言う感じで
あまり表情を変えないので
うーむと思いながら
今日はどこかへ行かないんですか?
と、聞いてみると
特に、という
あぁ、夕日を見にエンパイアに行くくらいかな


現金が$3しかなかったので
ホステルを出てまずは両替所を探す

エンパイアかー
以前、知人が言っていた
エンパイアの夜景の話を思い出す

見つけた両替所の男性が
自分の名前を紙に書いて日本語で書いてくれと言う
綴りは”NIHAT”
漢字の「二」「似」、
「派」か「波」しか浮かばなくて
それぞれを組み合わせることしかできなかった
”二歯”にしたらよかったか?!
スマイルっぽくていいかも

着ているシャツがボロボロになりつつあり
さすがに見かねてきたので
そのままSOHOへ向かい
生成りのセーターを$10で買う

暑くなり、ジャケットと荷物を置きに
一旦、ホステルに戻ると史郎氏がいた

これからでかけるの?と聞かれたので
ハイと答える
エンパイアとか行く?
それもいいかなとは思いますが・・、行くんですか
と、聞き返すと、うん、と言う
じゃぁ、行きましょうか、という流れで
一緒に行くことになる
会話が弾む自信はないが

夜の一人歩きはやはり怖いのでラッキーだ
夜7時にホステルで待ち合わせ
わたしはピザを食べたくて
フルトン・マーケットへ向かった



7時に史郎氏と合流しエンパイアに向かう
心配していた会話は
写真の話をしたところから波に乗った
芸は身を助くとはこのことか

エンパイアに着いて展望台まで上がると
もうすぐ日が暮れるというところ
場所を確保して待っていると
焼けてきた

こういうの見ちゃうとね
センチメンタルになっちゃうよね
と言う史郎氏

あまりにオレンジに燃える太陽を見たわたしは
『太陽にほえろ!』のごっついテロップと
ちゃらっちゃ~の音楽が頭の中で流れてる
そう言うと笑われた

中に入ってコーヒーを飲みながら
暗くなるのを待って
あらためて外に出た
四方を一方ずつ、ゆっくり眺める
暗くなると黒が締まってとてもキレイ

なかなか良かったですねと言いながら降りる
史郎氏は静かに感激しているようだ

それにしてもはじめて歩く
夜のニューヨーク
賑やかなところなら一人でもいいだろう
けど、5th Ave、6th Aveは暗くて
わたしひとりではムリだ


ホステルに戻り
ワシントンD.C.で会った女性にもらった
ポップコーンを思い出した
食べませんかと言うと
史郎氏はじゃぁビールを買ってこようと
それぞれ準備

レンジでチンするポップコーン!
キッチンにいた女の子に
「こんなポップコーンはじめて」
と、言いながらボタンを押すと
(なんとレンジに”POP CORN”ボタンがある!)
彼女が口をぽこぽこしながら
コーンが弾ける音マネをして
今にこうなるわよ、と笑った

ホステルの中庭で
ポップコーンといただいたバドで
史郎氏とポツポツ話していると
男の人がやってきた
史郎氏が昨夜、彼と話したのだそうだ

3人で話しはじめたが、彼は舌が回らず
はじめは酔っているかと思ったが
名前のスペルを書いてと
紙とペンを渡すが、書けない
ただ今マリファナ中って人を初めて見た

いや、僕、この人に飲みに誘われたけど
行かなくてよかったかも、と史郎氏

確かに



ニューヨークに着いた日
ナイアガラのなおちゃんと話していた
チェルシーのこのホステルにベッドを取った
まぁもし会えたら、ということなので
期待はしてないが
一応、伝言ボードにメッセージを貼ったけど
今のところ反応はない

もう、南へ向かったのかもしれない

5月〇日
エンパイア $4.50
おひる $3.00
両替 $4.50
セーター $10.00
合計 $22.00

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こちらは、1997年の旅のお話です
場所や配置、状況などなど
現在とはおお~きく異なりますので
ご了承ください
当時の雰囲気をお楽しみください!
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絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。