穴がない四角いドーナツ

1997年 アメリカを渡る旅  ニューオーリンズ



ナイトバスにだんだん慣れてきたのか
ずいぶんと寝れるようになったものだ

レストストップのたびに起きはするけど
あとはぐっすり

あっという間にニューオーリンズ

朝5時
今回はホテルにするつもりで見当はつけているが
まだ暗いので動くのは危険

同じバスだったコリアンの彼も
YHのチェックインが8時だそうで
明るくなるまでいろいろ話す
彼は仕事を辞めて英語を習いに
アメリカに来たそうだ

日が出て明るくなり
彼と別れ、ホテルへ向かう
そこがダメだった場合、何軒か当たるつもりで
荷物はディーポのコインロッカーに預けた


歩き出したはいいが人っ子一人いなくて
なんというか、不気味
大通り沿いなので迷うことはないが
誰もいないというのは少し・・

というか、すごく怖い

たまーにすれ違うのはアフリカンアメリカンで
えらい緊張した

ホテルに着いて、部屋を見せてもらう
バス・トイレ共同だがなかなかよい
その部屋に決めてから
荷物を取りに戻るため往復したが
やっぱり誰も歩いてなくて
おお、こわ~
無事ホテルに戻って、寝た


昼過ぎに起き、まずは観光名所の
フレンチ・クォーターへ向かって歩き出す
昼すぎで人がいて安心なのはいいが
本当に観光客でいっぱいだ

中心となるバーボンストリートへ
道幅は狭く1車線ずつ
両脇に歩道と店が立ち並ぶ

ライヴハウスありレストランあり
オイスターバーありお土産屋あり
呼び込みあり
日曜ということもあるのか?
歩行者天国になっていて路上ライヴをやっている

ヤル気なさそうに
クラリネットを吹いているおばさんに
ドラムとベースという構成
すれ違う観光客の片手にはビールやカクテル

碁盤の目のフレンチ・クオーターを
曲がったり止まったりしながらてくてく歩く
ロイヤルストリートはその名の通り
高級店やきちんとした身なりの人が多い
通りによりいろいろだ

歩いているうちにジャクソンスクエアにでる
ここは公園になっていて
20m四方の中に緑とベンチ
横になって本を読む人、似顔絵描き、
タロット占いをしているところもあって
ものすごい衣装のおじさんやおばさんが
いかにもという顔つきで客に何かを話している

行きたいと思っていた
カフェ・デュ・モンドはすぐにわかった
ベニエという穴がない四角いドーナツと
チコリ入りのフレンチローストコーヒーが有名
カフェは建物と、建物より広いテラス席に
テーブルと椅子がぎっしり
昼時のせいかひどく混んでいたので
後回しに

さらに進むとフレンチマーケット
まだスペイン領だったころから始まる
歴史ある市場

門をくぐると
モリモリと盛られたフルーツ
オレンジ、ブドウ、アボカド、スイカ
ニューオーリンズ名物のケイジャンや
クレオール料理の本や調味料
Tシャツ、ブレスレット、ピアスが
屋台のように並んでいいて、すごい人出だ!

マーケットを一巡して
来た道を戻る途中でライヴをやっていた
止まってきいてると、とってもよい
座って聴いている人も15人ほどいる
キーボード、ドラム、ベース
途中で女性ボーカルが加わる
思わずリズム取っちゃう

風が吹いて、きもちいいなー


ミシシッピ川を見ようと
ムーンウォークと呼ばれる川沿いの散歩道へ行く
ベンチもあって
休んで川を眺めている人、散歩する人
それぞれがそれぞれに

ミシシッピ川は泥色だ

量はなみなみでたっぷりという感じ
しばらくボーっとする


今朝、別れたコリアン青年にまた出会う
どこ行ったの?と聞くと
ワールドトレードセンターの展望台に行ったという
そんなのあるの?!とびっくりした
わたしの見学対象から
そういったものは外れているらしい


夕方に差し掛かったところで
Happy Hourの看板があるオイスターバーを見つけた
覗くと混雑していない
えい!と入って
ビールと生牡蠣を半ダース、オーダーする
牡蠣にはレモン、ケチャップがついている
ほほう~と思いながら食べた

店内のテレビでバスケの試合をやっていて
アメリカに来たなーと思う

料理を運んだお兄ちゃんが
入口の掃除を始めた




もう一泊することにした
今日は昼間少し歩いて、いったん戻って休んで
プリザベーションホールのライヴに行こうと思う


フレンチクォーターをぶらぶら歩く
いいだけ歩いてムーンウォークに行くと
去年「3か月英会話」に出ていた人が
SAXを吹いていた
あー、この人だー!
と思いながらぼーっと聴く

何曲か聴いてチップを置く時
写真撮ってもいい?と聞くと
Sure!と言ってくれたので
パチリ

フレンチマーケットで果物を買い
バーボンストリートでポーボーイ
(バゲットのサンドイッチ)を食べて
ホテルに戻る
眠ろうと思ったが眠れず
ハガキを書いて、6時半に再び外へ


夕方の光景を眺めつつ
プリザベーションホールに向かう
みんな、帰るのか、
遊びに行くのかしらないけど
とっても日常的

プリザベーションホールは
こちらも歴史のあるジャズホール
すでに5、6人が並んでいた
隣に並んだ人の話では
土曜日は3ブロックも並んでいたそうだ

だんだんと日も落ちてきて
ようやく入場がはじまる
$4払ってホールへ

ホールと言っても昔からそのまま形式で
学校の教室よりも一回り小さい
1番前の席はミュージシャンと
つま先突き合わせるほど近く
2列までは床に座布団のようなシートが敷かれ
3、4列は長いベンチ、あとは立見

ホールは満杯で時間どおり演奏が始まる
構成はトロンボーン、トランペット、クラリネット、
ギター、ピアノ、ベース、ドラム
全部で4曲、スタンダードを演る

1曲中にそれぞれソロパートがあって
曲が増すごとに盛り上がるけど
お決まりコースという感じ
30~40分くらい?で終わった

バードンストリートを歩くと
あちこちから音が鳴る
角のライヴハウスからの演奏が良くってのぞく

通りにある多くのライヴハウスは
戸が開け放なたれていて外から十分のぞける
戸口にも人が群がっている所もある
そんな人にミュージシャンが手招きして
それを受けて入っていく人もいる

こうやってあちこちの店をはしごしながら
バーボンストリート全体がライヴハウスなのだ

ビール片手に回りたいところだけど
そもそも女の一人歩きがあまりいない
やめておいた

誰か連れがいればなぁと思う


そういえば、ホテルを出るとき
飲みに行こうと声を掛けられた
アフリカンアメリカンの男の人で
はじめはホテルの人かと思いハーイとか言って
ごめんなさいこれから予定があって!と答えると
なんだ!残念!とじたんだを踏む真似をして
かわいいなぁと思いつつ別れたけど
ホテルの人が客を誘うか?

誰なんだ、アノヒト


帰り道に
ところどころでライヴをのぞいて
ホテルに戻った


5月〇日
ロッカー $2
ホテル $32.19
朝マック $4.56
くだもの $4
オイスターバー $10
ベニエ $3
合計 $55.75


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こちらは、1997年の旅のお話です
場所や配置、状況などなど
現在とはおお~きく異なりますので
ご了承ください
当時の雰囲気をお楽しみください!
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絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。