絵を描き始める数年前
キュレーターを目指そう!
と、安易に思ったことがある
キュレーターとは
展覧会の企画、運営、研究を専門にする人
海外では作品の管理はレジストラー、
取り扱う人はハンドラー、
保存修復はコンサバターなど分業されている
日本では作品取扱いから展示について
学芸員が一手に担うところが多いのだけど
最近はキュレーターとして活躍する人も増えてきた
と、いうのもコロナ以前のこと
上野でゴッホ展をやっていて
帰省の経由を東京にして観に行った
その時は日本初上陸の作品が数点含まれていて
連日行列の盛況ぶりだった
このころ、上野の美術館で開催される展示は
だいたい混んでいる、いつ行っても混んでいる
もう、絵を観てるんだか
前の人の後頭部を見せられてるのか
わからないくらいだ
大阪や名古屋に巡回展示する場合は
人出も東京ほどではないので
そちらに行くことも多くなった、頃
さて、ゴッホ展
わたしも、ひとり、またひとりと
吸い込まれる流れに乗って会場入り
まずは人をかき分け順路の終わりまで流し見て
大まかに把握しながら戻り
見られそうなところから見ていく
だいたい3往復くらいする
ソレでなくても人気のゴッホ展
人と人の間から絵を垣間見る
ある箇所に異様に膨れた人だまりがあった
例の日本初上陸のゴッホの初期作品で
暗~い配色の中にポッと明かりのような太陽
夕暮れの風景画
ところがあまりにも人が集まり
作品のカケラも見えない
レイアウトが良くない
仕切り壁がL字の短辺に話題作を配置している
人が溜まるに決まってるじゃないか!
さらに長辺へ続く小品数点が
膨らむ人達でまったく見られない
全ての人が全ての作品に立ち止まるわけではない
数秒で立ち去る人もいれば
しばらく眺める人もいる
数秒の人をうまく流してやることもできるはず
せめて長辺の小品とチェンジすれば
人の流れが変わりそうだ
そこで過去に見た別の展覧会を思い出した
その展覧会では目玉のマネの作品が
コの字の奥に配置され
立入禁止線が作品と平行に配されていた
確かに鑑賞者が数人であれば
没頭することができそうな空間だ
だがしかし、マネの目玉作品なのだ
もちろん人が集まり二重、三重、その時は
四重ほどの人の壁になっていた
前で見てた人は後ろの人壁から抜けられず
四重目の人はなかなか前に行けない
作品との距離をとる禁止線は
近づくのはここまでよ、という線であり
最前列に来たところで作品の全体像は見えない
平行の配線は一般的だけど
展示の作品は、一般以上なのだ
人々のストレスが渦巻いている!
ちょ、ちょっと!ちょっと!
館長呼んで!
例えば、立入禁止線を半円にする
ルーブルのモナリザ方式
円に沿って最前で観られる人の数を増やせる
真正面の位置は
作品から少し離れ全体像が見られる
近くでみたい人は両脇に溜まるが
全体的に二重三重となることはなく
数秒で良い人は離れやすくなるから流れはできる
そんなふうに人の多さとレイアウトに不満が溜まって
どうやったら解消できるのだろうと考え始めた
人流シミュレーションで
美術館バージョンを作ればいいのでは?
画家、日本来日回数、来場者の属性、
いろんな要素でレイアウトできれば
来場者数も見込め、
ストレスフリーな展示ができるのでは?
この仕事って、どうやったらできるんだろ
これってキュレーションだよね
学芸員の資格を取っておけばよかったな~
と、思った頃コロナがやってきた
多くの展覧会は予約制となり
人数制限でかなり観やすくなって
わたしは絵を描き始めた
去年から絵の個展をはじめて
展示のテーマやストーリーを考え、
レイアウト、補足資料を作る作業がはじまった
観る人が違和感なく、没頭してもらうには?
会場のカタチと展示順、位置、高さ
もっと工夫ができるのでは?
あれ?
わたし、キュレーションしてるね
アレだけ文句言ってたゴッホ展のレイアウト
大変だよね、スミマセン、ほんと
でも感じたことは自分に活かせるかもしれない
小さい小さい規模ですが
いろいろ考えながら
絶賛、宮古島展の準備中です
【個展開催のお知らせ】
いつもの風景がいちばんきれいで美しい
おおむらひろみ作品展
◎宮古島展
2024. 12. 12 ㈭ ~ 15 ㈰
11:00 ~ 17:30
BAR&CAFE Pisara
宮古島市西里224 2F
〇入場無料
〇原画、スケッチ画 販売
〇Okinawa Calendar2025 販売
※作家在廊予定です