なんということでしょう
画風がどんどん変わります
描き始めても
どう仕上がるのか
だんだんわからなくなってきました
昨年末に訪れた宮古島で
島内をまわった時に
これまた住んでいてもたまーにしか来ない
久松漁港に行ってみたくなった
港には誰もいなくて
船も上げられ
打ち寄せもしない水が
ただ、たゆたゆとあるだけで
使われていないスロープの水際が
きれいな黄緑だった
その時は
ここを描くというよりも
色の資料に画像に収めたのだけど
一枚に仕上げるとは
何があるかわからない
今回はペンで位置取りし
すぐに筆に替えて色で形を作りました
これは驚き
もっとペンを入れるかと思っていたし
こんなに筆を使うと思わなかった
自分の事なんですけど
最初に
よいしょよいしょと描いていたのが
船着き場のスロープ
ナイフのエッジで筋を入れながら
色を薄く押し付けるようにすりこんで
乾いたらまた少し違う色をすりこんで
船は
筆の太さを変えて
手前の船を太目ですーーっ
その奥隣りにすーっ
その奥、中太ですーっ
すっすっ
むこーうの船影、細いので
ちょんちょん、すー
水は
スロープに寄せる気持ちで
太い筆で面的に、ざざ・・・
海面の波立ちは細い白でちらちら引く
描いているうちに
これはいつもと仕上がりが違う・・
と思いつつ、それはそれとして
どこで終わっていいのかわからない
よし、と思うこともあれば
あれこれ眺めて
できることがない、とあきらめたり
この絵は後者
この一年、次から次へと描いてきて
画具の種類も増えたし、質も上げた
受けたイメージを表現するには
どうやったら柔らかさが
どうやったら光るのか
あたらしい画具を効果を試しながら
いま持てるチカラを掛け合わせ、すり合わせ
結果、画風が散らばった
そういう時期なんだろうなぁと
頭ではわかる
”いま”がほんとうに必要で
画風についてはもう”いま”を重ねるしかない
わたしの絵だと言えるものに
たどり着いていない
焦っていました
そんな中、訪れたのが
「画業50周年 Tshio Eitoku 個展」
青を基調とした作品は
ちらちらと聞いていましたが
出掛け先で個展開催を知らせる
ポストカードをいただいた
50年の画業!
今回は70歳を過ぎてからの
新作が中心とのこと
展示されている絵の多くは
何度も訪れているという
フランスの街角や港、海が多い
その海にはヨットや船が浮かび
散歩する人、
ロングチェアに横たわる人、
室内でくつろぐ人、
その部屋の窓から海が見える
濃淡、明暗、いろんな青に
筆がリズミカルにドットをつくり
海の上で波になる
マティスのようと言えばわかりやすい
影響もあるとのことだけど
Tshioさんの絵だった
一輪挿しに活けられた花の背景は
ほんのり赤みを含んだ黄色
控えめなのに堂々と
花よりも楽しげだった
ちからが抜けるようだった
ちからが入っていたのだ
在廊していたTshioさんご本人と
お話することができた
印象的だったのは
食わず嫌いだったと何度も
おっしゃっていたこと
ピンクを使うなんて
アクリルを使うなんて
でも使ってみると
案外よかった
扱いが、手軽さが、よかった
食わず嫌いでと
はにかみながら
気づいたら
画風が落ち着かないことを話していた
みんな、そうだと思いますよ
毎日描いているという
Toshioさんはそう言って
画風が落ち着かないことと
変化していくことは
なにかが違うんだろう
マティスやカトラン
身近なアーティストからもらって
Tshioさんを通して生まれたピンクの絵
その絵からわたしも何かをもらう
あれは愚痴ではないか・・!
モウシワケアリマセン
後から気付いて
とっても恥ずかしいのですが
エールをもらったことにします
(基本ポジティブ)
「あおみどりの木」さんは
木造建築のギャラリーで
ぬくもりと呼吸を感じる空間
さまざまな作家さんの作品を展示されるので
たまにお邪魔していますが
今回は本当にこちらでよかった
今日の画家はあの色を
こんな感じで使ってた
それなら絵のここに入れたらいいかも!
良い展示に出会うと
帰って絵を描きたくなる
そう
描きたいものなら
たくさん!