緊張するヒマがありません

1995年 ヨーロッパを巡る旅 ポルトガル編


汗をかきかき迷路のような坂を上り
小高い丘に聳えるサン・ジョルジェ城へ

ここからリスボンが一望
眼下には旧市街地の白壁と赤屋根
海のように大きなテージョ川

広く見渡せる景色が気持ちがいい

リスボンは首都で大きな街なのですが
動脈のような大きな道路の存在が感じられず
高層ビルも内陸にまとめられていて
どこか首都然としておらず・・

とくに旧市街地

くねくねした細い道は石畳で
古く馴染んだ建物が途切れず立ち並ぶ

起伏が激しいアップダウンに
視界の道先は右へ左へ曲がっていて
終わりが見えない
そこへ市電やケーブルカーがやや無理やり通る
あの向こうはどうなってるのかな?
わくわくの連続で旅情を誘いまくります

そこへぽこっと登場するパン屋さん!
旅人が緊張するヒマがありません


国を超えるとまずはパン屋へ
移動旅はパンが変わってゆくのが面白い
ポルトガルはコロンとした
素朴な丸パンが多かった

パン屋はおやつも豊富なのでやっぱり楽しい
エッグタルトは
中がとろっとほんとうに美味しくて!
リピートした記憶アリ


そしてリスボンでは
何の余裕か、映画を観た記憶アリ
『ダイ・ハード3』
これなら前作を観ていて
なんとか理解できるかな、と思ったんでしょうね
英語音声でポルトガル語字幕
なんとなくでした
ホント、なんとなく


ポルトガルではとにかく
眺めていたような気がします

石畳や壁、街並みや風景
地元の人、観光客の動きやしぐさ


こころが開かれていたのか
目に入るものがひたすら楽しく
スケッチよりもシャッターを押すことが増え
その場面を切り取る方に専念したようです

その証拠か、ポルトガルで撮った写真には
話しかける人、それに応えている人
そんな人たちが登場します

ヨーロッパ前半で撮った写真は
人は少し遠くにいて、風景として写している

パリではその距離は縮まり
人の年代や様子がわかるけれど
それぞれひとりで過ごす様子を撮っている

冒頭の写真はリスボンの公園
撮った時は手前の男女が念頭にありましたが
写真にして改めてみてみると
3組のコミュニケーションが写っていました
ミラクル!


前半は自分のことでいっぱいだったけれど
経験と時間のチリが積もってなんとかで
その場所の一部となって、観たいものが見えている

したかった旅をしていたのでしょう




リスボンからファーロを経て
ヴィラ・レアル・デ・サント・アントニオに入りました

小さな港町になぜ一泊したのかな?

この街の東に流れるグァディアナ川
その向こうはスペインです

スペイン北部からポルトガルに入った時は
つるんと入ってしまったので
国境を意識したかったのか

もしくは
穏やかで気持ちよかったポルトガルの旅が
名残惜しかったか



一泊した翌朝はとてもよいお天気で
部屋の窓から路地を見下ろすと
家の周りの掃除や水まきをしている人たち

なんと清々しい!


ありがとう、ポルトガル

行きましょう、スペインへ




絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。