直線だし、45秒くらいかな

1995年ヨーロッパを巡る旅・パリ滞在編


ルーブル、オルセー、オランジュリー、
ピカソにロダンにポンピドゥー・・

なんということでしょう。
パリに滞在し、美術館に通う日々。

毎日というわけにはいきませんが
それにしても!
そこにある、ルーブル美術館。

普通ないですから、そこにルーブル。

とにかく広い美術館ですが
ぐうぐる先生に聞いてみると、
総面積6万㎡以上。

わかんないですよね。

いちばん長い展示回廊(グランドギャラリー)が
全長、450m
マイケル・ジョンソンに走ってもらうと
直線だし、45秒くらいかな。

トイレを見つけたら
行っておけって感じでしょうか。


例えが悪そうです。


大きな美術館から、小さなギャラリー
観たかった、知らなかった作品に
感動でのたうちまわるのはもちろんですが
展示の仕方に
とっても感銘を受けました。


例えば
そこにある(ない)ルーブル美術館

展示室に向かうゲートを通り
階段を上がろうとしたその時、
じゃじゃん!と迎えてくれるのが


『サモトラケのニケ』

ギリシャ彫刻で翼の生えた勝利の女神。
NIKEのブランド名とロゴの由来で有名です。

大階段の最上段(踊り場)に設置され、
観る者は女神を見上げます。
天井からの神々しい光に包まれて
今にも飛び立ちそう。

ほかにふさわしい場所、ある!?

はじめてみた時、この黄金配置に
感動で頭が吹っ飛びそうになりました。



通称『ナポレオンの戴冠式』は
横が約10m×縦6mで、約61㎡という大作で
わたしの部屋よりよっぽど大きいです。
さすがは、ナポレオン・ボナパルト。
(描いたのはダヴィッド)

もう、離れないと視界に収まらないので
観る者は圧倒されつつ後ずさる。
鑑賞距離が必要な作品です。

この部屋の大きさ、
小学校の体育館の長辺が35m前後なので、
そのくらいのイメージでしょうか。


作品を伝えるために必要な、充分なスペースを
惜しみなく、使う。



また、現地で活躍している写真家の個展を
観に行った時のこと。


パリの風景を抽象的に切り撮った作品。
(だったような)

額に収まり展示されていたのですが
その下に
作品をプリントした薄い紙が束ねられていて
自由に持ち帰ることができます。

観る者も楽しいけれど、これ、
なかなか良い
マーケティングじゃないでしょうか。


うまれた作品を観る人に届けるために
意図や額から効果的な場所、
部屋に入った観る者の視界・・
そういったことが徹底して考えられていて
展示の工夫が、遊び心が、
いろいろなところで感じられました。

観る、観せる、心意気!

なんか、フランス、すごーい!
(ざっくり)



アパートの部屋に広げた
この旅で撮った写真を眺めながら唸る
若いわたし。

フィルムを日本に送り、
現像、プリントしてもらい
また送り返してもらったその写真を
模造紙に貼っていきます。

わたしにはだいぶんビッグなミッション。


がんばれ。



絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。