探しません?空き部屋

雲Ⅲ<わきあがる>, 345×253, 水彩



先日、郊外へ行く用事があり
バスに乗って出かけました

那覇の住宅街をくねくねと行く細い道
初めての乗る路線の風景は新鮮で

音楽も聴かずに楽しんでいると
アパートらしき建物の
カーテンがない窓を見つける

薄暗い室内の
その奥もどうやら家具もなく
がらんとしていて

空いてるのかな

見晴らしはどうかな
 
コンビニあったな、スーパーはあるかな

ここに住んでいたら
どんな生活になるのかな


車窓に限らず住宅街にくると
空室をさがしてしまう癖があるのですが
わたしだけでしょうか

探しません?空き部屋


いつからかな、と思い起こすと
たぶんアレです、若いころの部屋探し

進学で移動した札幌には
その後も12年住んでいましたが
そのうち4回、引越しました

引越しが好きなワケじゃなく
妹と住んだり、離れたり
住んでいた建物が競売にかけられたり・・

そうそう
1階の大家さんに毎月家賃を持参していた
白石のあの部屋
専用の封筒に領収スタンプを押してもらって
おやつ貰ったりして
1K、3万ちょっとの木造で


寒かったなぁ


玄関に置いたバナナが凍ってて
笑いました

玄関を冷蔵庫扱いすることはあるけど
凍るのはヤバい

ある日
郵便受けに競売に関する文書が入っていて
大家さんもいつの間にかいなくなって
住み続けられるかもわからなくて
豊平に移りました


という感じで
まぁまぁ頻繁に部屋を探していたあの頃

90年代なのでネットもまだまだ
住宅情報誌を買って
目ぼしい物件を見つけて、不動産屋に行く

条件に一致する部屋なんてほぼなくて
何かしらの妥協を自分内で検討するも
新たな希望者が現れるかもしれないと
不動産屋に決断を迫られる
あのプレッシャー

なかなか思うような部屋が見つからないとき
何気なく通り過ぎるアパートに
カーテンのない部屋をみつけると
探せばあるじゃん!と思え
なんだかホッとしていました

今思うとそこまで?と笑いそうになるけど
その時は心細かったのね、きっと


最近ではその癖が転じて
逞しくわくわく妄想をしています

ここに住んでいたら
どんな生活になるのかな





バスは住宅街を抜けて
郊外に出ると一気に空が広くなり

海も近く、エンジン音が聞こえて見上げると
いつもより大きく見える飛行機が飛んでいく

雲がモクモクしてきました

夏ですねぇ



さて、このあたりはどんな空き部屋が


じゃなくて

用事を済ませてください、わたし






絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。