少しは人を選んでは

1997年 アメリカを渡る旅  サンフランシスコ



ビジターセンターでマップをもらい
とにかくケーブルカーに乗ってみることにした

乗り場に向かうと
すでに5、60人は並んでいて
一度で全員は乗り切れず
4台目にやっと乗る
車両の中には入れず外側にあるステップに立ち
何かしらにつかまる

ヤッターマンのようだ!
気温も高いので風が心地よい


坂道を登ったり下ったりを繰り返す
先が見えない視界も
なにがあるんだろうとワクワクする

みんな、サンフランシスコはいいと言うが
なんとなくわかる気がする
丘を越え、谷を越え
なぜかニコニコしてしまう


終点まで乗り
そこからまっすぐ歩くと埠頭で
フィッシャーマンズワーフと言う観光エリア、
とくに賑わっているというピア39を目指す

人でごった返していて、この辺か~とわかる
レストラン、ブティック、土産屋などが並び
店に入ったりしながらブラブラと歩く

海に出るとアシカがたくさん!
水上に6畳ほどの大きさのいかだが並べられており
5、6頭のアシカがおうおう言いながら
ごろごろしている
愛嬌のあるアシカたちよ

一角にシーフードの屋台が並んでいるところがあった
小さいプラスティックの容器に
ゆでたエビ、殻付き生ガキ、カニが詰められて
実にうまそうにずらりと並んでる

店の人が道具を使ってカニの殻を
リズミカルに叩いてほぐし、食べやすくする
この作業がすごくよくてずっと見ていられる
モン・サン・ミッシェル名物のオムレツの店で見た
大きなボウルでリズミカルに卵を溶く作業を
思い出す


お腹が空いたので
まずはサンフランシスコ名物の
サワードゥブレッドを食べてみることにする

カフェオレボウルくらいの大きさで
バゲットのようなパンを器に
中をくり抜いてクラムチャウダーを入れたもの
このパンが酸っぱいんだそう・・

ありありとわかるほど
酸っぱい!
きゃー!
スっぱいけど、おいしい!
今度はクラムチャウダーに付けて食べる
うーん、美味しい!
捨てている人もいるけど
クラムチャウダーが染みた器のパンも美味しい



その店の通りを挟んだ向かい側で
ストリートミュージシャンが
ギターを弾いていたので
近くに行って聴きながら、食べる

曲はスティービー・ワンダー

それにしても目の前の人がノリノリで
踊りながらシュリンプを食べている
はじめは足でリズムを取りながら食べていたけど
だんだん激しくなる

シュリンプを食べ終わり
けれど手を拭くものがないらしく
指先を口で吸い
背負っているリュックで拭く!

周りの客もあきれている
でも彼女は気にしない



わたしも食べ終わり
彼女もいなくなったのでさて行こうとしたとき
彼女がボーイフレンド?と
カニとビールを買ってきて
また食べダンスをやり始めた!

ずっとやってろ~



バスも乗れる3Daysチケットを買ったので
行き当たりばったりでアチコチぶらぶら
ケーブルカーは異常に混んでいるので
バスによく乗った

下町風な界隈を走っているとき
横切った通りにテント張りの出店が見えた
お祭りかなと思い
急いでSTOPの紐を引いて降りた

その通りは下っていく坂道なので
遠くまで見える
手前の7,8ブロックを使って
テントが連なっている

ワクワクしながら坂を下ると
ピアノのジャズ演奏から始まり
ビールやワインなどの屋台
インド綿の店、オリジナルの皿、陶器類
小物、ピアスなどなどのテントがずらりと並ぶ

元からある路面店も
便箋・封筒の専門店やアートな器、ギャラリーなど
後から調べるとユニオンストリートと言う
オシャレな地区らしい

スターバックスが
アイスを配っているので1本もらい
食べながらぶらぶら歩く


写真を売っているテントがいくつかあり
モノクロできれいなグラデーションの
写真を見つけた

全部、あなた(が撮ったの)の?
そうだよ
プリントも自分で?
そう、全部やったよ
グラデーションがとてもキレイですね
Thank you!

グラデーションが本当にすごい
わたしならもう少し黒を締めるけど
フレーム付きで半切から四つ切で3万円くらい
フレームなしは$50くらい安くなる
ふむふむ


公園でごろごろしながら海をみながら
地図をみていると
目の前のバス停から
ゴールデンゲートブリッジ行きのバスが出ている
お、行けるのか、と思っていると
バス停にバスがきた
次のバスに乗ろうと立ち上がった

ハイウェイのような道をとおり
橋のたもとにつくと案の定、観光客でいっぱい
ホッとドックや土産屋の建物があり
(日本語でおみやげ屋と書いてある)
20mもいけばもう、橋がはじまる

手前から橋を眺める
バランスが取れて美しい
風や波の難所と言うことで
橋を架けるまでがまず大変だったらしい

橋を少し渡ると
サンフランシスコのダウンタウンが見える
起伏の激しい街だけど、とてもきれい

歩いて渡ると40分くらいかかるらしい
それも風がない時、だそうだ
観光客がたくさん歩いていくが
わたしは渡る気はなかったので
5,6分ほど歩いて戻った


サンフランシスコのホームレスは
わりとのんびりした感じで
若い人も多いし、女の人が多い
ユニオンスクエアにいた女性は
まつげをカールしていた
ある男性は
バーガーキングの紙コップに
溜まったコインをポケットに移し替え
何枚か落として
拾っていた

紙にHungryやHelpと書いて
人を見上げているが
ニコニコして切羽詰まった様子はない
お金がたまるとファストフードに行くようで
マックやキングにはそうした人が結構いる

なかなかリッチだ



女性が通ると「Oh! Beautiful!」と言うが
わたしにまで声をかける
少しは人を選んでは・・と思っていると
ホテルについた



シャワーを浴びているとバン!ドン!と音がする
窓から顔を出すと花火があがっている
さっき通ってきた辺りだ
祭りをしているらしい

シャワー浴びてなかったら行ったのに・・
と思いながら見ていると
今朝、話した女の子が
4Fの部屋から顔を出した

おーい!聞こえる?
うん、何の音?
花火やってるけど、見える?
見えない
じゃ、上がっておいで


おじゃまします、と入ってきた彼女は
花火を見てえらい感激している

一生の思い出になると言っている

夜は出歩いていないし
それほど人にも
日本人にも出会っていないようだった


なんとなく気持ちはわかる
わたしも最初はそうだった


サンフランシスコの
ホテルの窓から見た花火


一生の思い出
きっと、そう、なると思うよ


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こちらは、1997年の旅のお話です
場所や配置、状況などなど
現在とはおお~きく異なりますので
ご了承ください
当時の雰囲気をお楽しみください!
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絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。