嬉しくて、バリューセット

1997年 アメリカを渡る旅 エルパソ→サンアントニオ


次に向かうのはサンアントニオ
エルパソからバスで10h もかかるので
夜行にした

出発時間までオクちゃんとリエちゃんと過ごす
2人は翌日のホワイトサンズのツアーに申し込んでいるが
4人催行で人が足りないらしく、連絡待ち


フォートブリスと言うところへ行くことになった
エルパソの北部にあるアメリカ軍の防空基地
地図をみるとバスで15分くらいかと思ったが
結局1時間近くもかかってしまった
目指す博物館がエリアの奥にあったからだ
「基地」は初めてだ

入場ゲートでバスが止まり
立っている兵士?とドライバーが挨拶をする
あまり緑を見たことのないエルパソだが
ここはきれいに芝が植えられている

国旗を立てた建物がたくさんあるが
ひしめき合ってるわけではなく
土地の余裕を感じる
一つの集落を過ぎると
しばらくは道と芝だけ、また集落が現れる
道は広くはないけど
ずーっとさきまで延びている

ショッピングエリアにくると
バーガーキングを見つける
他にも銀行、ショッピングセンター、
学校もあるようだ

どこまでいくのだろうかと思ったとき
ドライバーのおっちゃんが
向うに見える建物がそうだと教えてくれた
俺は一時間半したらまた来るよと
言ってくれる
バスの本数が少ないからだ

示された方にロケットのようなものが立っている
アレだろうと言い合い目指して歩くが
結構遠くて着いても”やっと”の感じがある

中に入っていく
料金はタダのよう
ベトナム戦争時の制服、そして
このあいだの湾岸戦争の制服の展示が生々しい
ミサイルの中の構造や
防空壕の中の様子を再現したものなどが並ぶ

こういうものを残す
人は考えることができるのに戦争をして
そして今でもどこかで殺しあって
いろいろ考えているうちに
頭の中がぐるぐるするけど
それでも、起こったものなんだよな
というところに行きつく



売店でリエちゃんがドライフードを買っていた
軍の遠征用の携帯食らしく
アイスとピザ味があった

アイス味を買ってみた
オクちゃんがまだ中にいるようなので
リエちゃんと入口にある階段に腰かけて
”アイス”のビニールパックを開けてみた
中にはチョコとバニラの・・・
なんと説明したらいいか
発泡スチロールのようなものが入ってる
重さもそんな感じで軽い
食感もそんな感じ
で、味は、アイスだった
お見事だ


本当にあのおっちゃんが来るのかなー
言っているとバスが来て
本当にあのおっちゃんだった
手を振って合図をする


思ったより早く戻ってきたので
マゴフィンホームと言うところに行ってみた
大事業主マゴフィン氏の家だったようで
1800年代当時の富裕層宅を見られる博物館のような

中に入るとガイドの女性がついてくれて
応接間や個室をとてもわかりやすく説明してくれる
もちろん英語だが
わたしがへぇなるほど・・と思えるほど
19もの部屋が有るそうだ
マゴフィン氏の家族や子孫たちにまつわる話
当時の様子やなどを聞く

ダウンタウンに戻り
腹がへったということでファストフードに入る
この旅で、初・ファストフード
嬉しくて、バリューセットを頼む


さてここで
オクちゃんの釣銭に問題があったらしく
やり取りして釣銭を取り戻す
オクちゃんはYHに泊まる際も釣銭を間違えられ
ちゃんとやり取りして取り戻していた
その粘りにつくづく、感心
わたしならまぁいっかとか思っちゃいそうだ
(気づけばの話)


もう一晩ステイするふたりは
部屋をツインに替えて
シェアすることにしたとのことで
ナイトバスの時間まで
その部屋で待たせてもらう

そしてこの時点でも、明日
ホワイトサンズに行けるかわからない2人
ニューオーリンズがどうのとか
言い合っているうちに時間が来た


地元が同じオクちゃんが
また会えると思うと寂しくないですね、と言う

淡々としているように見える、オクちゃん
なにか人柄が見えたような気がして
かわいいような、ホッとするような
リエちゃんも一見クールだけど
心の中でキャーキャーさわいでる
こんな風に
少しわかりかけるころで別れるんだよな
と、思いつつバスディーポへ


出発1時間前だというのに
もう10人ほど並んでいて、しまった、と思う
安全な一番前の席に座りたかったのだ
並んでいる人の荷物がすごい
スーツケースみたいなのがゴロゴロしていて
わたしの荷物がかわいく見える

今晩のバスはガラが悪い

バスの後ろ1/3に座る男女が
大声で騒ぐように話している
前の席に座れたのでなにをされるワケではないが
日本人同士で過ごしていたので
抜けていた気を引き締めなくてはと思う


寝るには寝れたが
2時間おきのレストストップ、それに
今回は国境近くのせいか
パスポートチェックもあった

国境警備員と言うのか?が乗り込んできて
「U.S.A’s?」と聞いていく
わたしはパスポートを出して、終わり
何人か、メキシコ人?がいるのか
二言、三言、交わしていた

その次のレストストップだったか
フォークストックトンで
後部座席の女性が一人、降ろされた

騒がしかったから?
パスポートチェックに問題が?
詳しいことはわからないが
降りたい場所ではないらしい
後ろの席で一緒に騒いでいた人が
ドライバーに抗議していたが
ムリらしい

その騒ぎのかたわらで
この地点でドライバーが交代らしく
新ドライバーが車内の通路を
Excuse meと言いながら掃除をしていた
そんな様子がなんだか滑稽
まじめなまじめな新ドライバー


女性はここに残され
バスが走り始めると
暗闇にとけるように歩いていった





5月〇日
昼ごはん $4.32
バス $2
マゴフィンホーム $2
おやつ $3.52
合計 $11.84


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こちらは、1997年の旅のお話です
場所や配置、状況などなど
現在とはおお~きく異なりますので
ご了承ください
当時の雰囲気をお楽しみください!
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絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。