ロダン、相変わらずラブラブだ

1997年 アメリカを渡る旅 L.A.



風邪を本格的に引いてしまい
こんなに延びて
なんとも情けない日々だった

次はラスベガスへ行く予定だったけど
ナイトバスで一気に
グランドキャニオンに向かうことにする


寝込むなんて知る由もない数日前
カウンティ美術館に行った
ロスの西郊外にあり、バスでしばらくかかった

とにかく展示エリアもコレクションも幅広い
大きく3つに分かれていて
一番手間の建物に入ると
ナチス関連の特別展をやっていた

新聞、手紙・・、といっても
ナチス政権下のドイツではなく、
当時のアメリカの様子がわかるもの
シャガールの絵もあって
暗く悲しい、絵だった

2年前の旅で行った
ドイツのダッハウの強制収容所跡を思い出す
ガス室の生々しさを思い出す

この展示では
Max BeckmannとOskar Kokoschkaという
画家が目にとまった
Kokoschkaは
とても明るいパステル系で悲しく描いていた
Beckmannは
黒を使って勢いよく、強く、描く

2階に上がると、コレクションかな
ピカソ、ブラック、マティス・・の前衛軍団
ピカソの
少ない線で描かれている
デッサンにとても近い油彩があった
画力にため息

隣のビルに移ると
印象派軍団がわたしを襲う
ゴッホはないけど、すごい、すごい
ほとんど見たことがないものだ

気に入ったのはピサロの一枚
これまで特に気に入ったものはなかったけど
この絵は
パリの通りと広場を見下ろしたような構図で
モネの『キャプシーヌ大通り』のような
華やかさがあってとてもいい
落ち着いた華やかさ

ロダン、相変わらずラブラブだ
彫った跡、残し方がとても好き
それから日本人がモデルの彫刻もあった
ハナコというらしく、日本髪
こちらは苦悩に満ちる顔




さて、この美術館はかなりの規模
昔の工芸品なんかにも目を奪われ
えーーーこんなにあるのーーーと
思いながら4時間、歩き
くたくたになって帰ってきた

夜は宿のフロント前で
京都から来たという二人と宿のおばちゃんが
ラスベガスの予行練習で
ブラックジャックをやっているのを眺めて
ルールを覚える

その翌日、ラスベガスへ行く予定だったが
頭痛とお腹の具合がよくなく
もう一泊することにした

おばちゃんに告げて
$40($20札×2)を出すと
一泊$25なので、$15返ってくると思ったが
$17くれた
おばちゃん、サンキュ




それから3日
初日からあったあのぼわんとした感覚
たぶん旅初めは緊張で抑えられていた
熱が出て本格的に寝込んでしまい
すっかり弱気になってしまった

何より体調だ

まだ少し下痢気味だけど、だいぶん良くなり
食欲が出てすごくうれしくなって
チョコバーなんかを食べてしまう

ナイトバスまで時間があるので
ダウンタウンの美術館へ行った

地元の高校生だろうか、ヒジョウにうるさい
そして地味に下痢が響く

ようやく学生がいなくなったので一回りする
わりと写真が多かった
一人の女性を隠し撮りのように撮ったもの
東京の電車の線路を撮ったもの
わたしにはよくわからない

おお、今度は小学生だ・・


宿に戻って時間をつぶすことしにて
帰り途中の薬局で薬を買った

日本の下痢止めが効かないのでこちらのください
そういうと、おばあちゃん店員さんが
ゆっくり、詳しく、説明してくれた
声がとてもやさしい
ありがとう


結局、ロスに8日も費やしてしまった
宿のスタッフだと思われたり
こっちに住んでいるのかと言われるほどだ
青年 from 千葉も
昨日サンフランシスコに行った

フロント前で漫画を読んでいると
神戸のアニキが外出からもどってきた

おー、おったんかい

美術館行ったけど、終わっちゃって帰ってきた

おもろかった?

うーん・・

アニキは宿のおじさんから情報をもらうと
また出て行った

その頃からわたしの向かいに座っていた
背の高い青年
宿のおじさんが「みんなで食べなさい」といって
メロンを出してくれたのをきっかけに
彼と話し始めた

大阪からきている26歳で
休みを取ってきているらしい
ここは友人とグランドキャニオンへ行った帰りで
友人は日本に戻り
彼はこれからシカゴの語学学校に入るとのこと
などと話しているうちに
バドの500mlを4本空ける

(え、一人で、じゃないよね? from2023)

ぽつぽつ話していると時間が来て
彼に「いい席、取らな」と言われ
宿を出る

バスを乗り継いで
グレイハウンドのバスディーポへ
20時のバスに乗ろうとしたが
19時の方がいいと言われ、乗ることに
チケットは日本で買った
グレイハウンドのアメリパス
2カ月乗り放題

乗ったバスはなんとニューヨーク行きだった

まじか、わたしは途中で降りるけど
ホントにこのバス(車両)は
ニューヨークまで行くんだろうか
3日はかかると思うけど

そんな路線があるなんて
なんか、さすが、アメリカ


Little Tokyoを通りすぎ
バスがフリーウェに乗ると
夕暮れにさしかかってとてもきれい

やっとLAを出る実感と旅に出る感覚が
とても懐かしいような、
しっくりくる、という思いがした



5月〇日
美術館 $6
くすり $6.59
バス $1.85
食費 $5.85
合計 $20.29




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こちらは、1997年の旅のお話です
場所や配置、状況などなど
現在とはおお~きく異なりますので
ご了承ください
当時の雰囲気をお楽しみください!
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絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。