ピーテルさんと十勝石

1995年 ヨーロッパを巡る旅・北部編 ミュンヘン中央駅からウィーンへ


ウィーンにあります、美術史美術館

芸術に造詣が深い皇帝が
本気で集めるとすごいですよねコレクション

こちらがもとになっていまして
その所蔵作品の数も有名どころもヨーロッパ屈指。
広い、いっぱい、美しい。

1890年(頃)建てられたネオルネッサンス建築で
50室以上の展示室、
壁から柱から天井までの装飾、
なんかいろいろゴージャス!
(ざっくり)

おおーきな美術館は「来たなぁ!」感があって
気分上々!
なんかいろいろ吹っ飛びます。

ディズニーランドもそんな感じでしょうか。
高校の修学旅行でいったのが最後(いつ)で
特別避けてるわけでもないけど、ご縁がなくて。

いろいろ怒られます?

戻しますね。


印象に残ってるのは
ブリューゲル家のみなさんです。

画家・ブリューゲル、というとき
浮かぶ作品は『バベルの塔』

時代は16世紀
現在のオランダとベルギーの地域で活躍した
ピーテル・ブリューゲルを指すことが多いでしょう。

美術館に行くとこうなります。

『バベルの塔』を描いたピーテル(父)には
ピーテル(子)とヤンという息子がいて
この花の絵はそのヤン(父)が描いてて、
その息子のヤン(子)がこの絵を描いたの。

これがわかってたら面白かったんでしょうけど
当時のわたしは
ブリューゲル、いろんな絵を描くんだなー。
まさか父子が2組いるとは、夢にも思いませんでした。

一族の中でもおそらく
父・ピーテルの作品が広く知られていて約40点、
うち12点がこの美術館所蔵となっています。
他にもよく知られているものとしては
『雪中の狩人』『農民の婚礼』『農民の踊り』があり
農民画家とも呼ばれています。

父がすごいなーと思うのは
とにかく登場人物が多いうえに
ひとりひとり、身に着けているもの、所作、表情
全員を描き切っている。

よくみると
主題と関係ないことしてる人がちゃんといたりして、
脇役がリアルでコミカル。
本当によく見てるんだね、父。
それまた枠におさめる構成力がこれまたすごーい。

父、すごーい。


いや、息子たちも負けてない。
長男のピーテルは父の模写から同様の路線に、
次男のヤンは父を引き継ぎつつも我が道をゆき
花を多く描いています。

ゴーージャスな花瓶に
ゴーージャスに活けられた花
精密で、対象の質感がわかるような丁寧な描写は
お家芸。

ブリューゲル家の作品は
ヨーロッパを巡るとたびたび遭遇します。

ドイツ・ミュンヘンのアルテ・ピナコテークも
気分が上がる大きな、歴史もある美術館ですが
こちらにもちゃーんとピーテル(父)、
ヤン(父)の作品があります。

それにこちらには
とにかく神々しい、巨匠・ルーベンスの作品も多数。
『フランダースの犬』に出てくる
絵を描いた画家ですね。
(↑絵はアントワープの大聖堂)

ちなみにヤン(父)とルーベンスは
一緒に描いた絵もあったりして、仲良しさんです。

あ、ルーベンスのファーストネーム、
ピーテルさんです。


それましたね。


隣に
これまたゴージャスな自然史博物館があります。

こちらにはイメージと若干違うヴィーナスがいますし、
恐竜(骨)がガオガオ言ってますし
ゾウとかキリン(はく製)もその辺歩いてます
(たぶん夜に)
大人もキッズも楽しいミュージアム。

で、ここの何がすごいって、石です。

コレクションが膨大過ぎて
ガラスケースに美しーく並べられた
ありとあらゆる石、果てしなく、石。
100kgクラスの水晶がデーン!
アメジストがデーン!と、鎮座。
1室じゃぁないんです、何部屋にも溢れてます。

そんなとあるケースに
なんと我らが十勝石(とかちいし)がありまして!

えーーーーーー!

「ちょっとちょっと、見て!十勝石だよ!」
残念ながらひとりでしたので
声が体内で乱反射してました。

十勝石は通称で、北海道で産出される黒曜石です。

黒く光り、割ると鋭利な破片となるので
刃物的なアレ(石器)で見つかったりしてるようで
主な産地は、十勝・白滝・置戸・赤井川・・・

ここまで書いて、あれ?
育った地域は産地じゃないのに
わたし、十勝石、持っていたような気がする。

産地の中で置戸(おけと)がやや近い、拾った?
十勝・帯広には祖父母がいたから、もらった?

この謎は解けなくても特に支障はないので
これくらいにしますけど、
ウィーンで十勝石を観る、っていう思わぬ体験が
観に行った絵よりも覚えている、という
些細なお話でした。

盛大にそれました。

ヨーロッパは腰が重いなーと思いつつ
いろいろ思い出し、また行きたくなります。

プラハとウィーンセットで、2週間なんてどうでしょう。
美術館、ソーセージ、
ビール、ぼんやり
街歩き、チョコレート、
コーヒー、美術館
ワイン、ぼんやり

・・・夢見ながらこの辺で。


絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。