この写真はオランダかな?と思ったら
ベルギーのブルージュ。
95年の旅のはじめは友人が同行した。
ニューヨーク、パリを1週間ずつ観光し、
友人は帰国、わたしはイギリスに渡った。
往路:フランス→イギリス
復路:イギリス→ベルギー
低価格でドーバーを渡るには、bus&boatとなる。
ボートでドーバー海峡・・・。
わたしの頭にも、湖にも浮かぶ、スワン的なアレ。
パリからバスに乗り、カレーの港に着くと
待っていたのはホバークラフト。
もちろん、スワンではない。
行きはよいよい帰りの海ががたいそう荒れて!
ホバークラフト、跳ねる!跳ねる!
こみあげるものを必死に堪え、
1㎜も動けないのに容赦なく上下に揺らされる。
隣のおじさんが「Are you OK?」を連呼しながら
手持ちのパンフレットでわたしに風を送る。
「ほ、ほんと、すんません・・」も声にならず。
それでもなんとか乗り切ることができ、
おじさんに薄い笑みで心からお礼を言った。
カレーからバスに乗りたどり着いた、
4か国目ベルギー、ブルージュ。
ブルージュを含めヨーロッパ北部での宿泊は
ユースホステル(YH)のドミトリーを利用した。
1日の予算は5,000円以内と設定。
当時のYHは、ベッド一晩、1,500円~2,000円。
旅人もドミ使いも、まだまだひよっこ。
4人部屋に入るとアジアン女性がひとり。
日本人じゃ、ないかも。
ハローと挨拶すると「あ、日本人?」と彼女。
あれ、わたしはバレバレなんですね。
話を聞くと彼女は、日本から船で中国に渡り
陸路でベルギーまで半年かけて来たという。
待って。
陸路でここ(ベルギー)まで?
中国から?
まじですかno planeですかあぶなくないですか
っていうか、
こんな人ばっかりなんでしょうか。
その後、旅先でいろんな人に出会ったけれど、
行程、期間ともに彼女以上の旅人はいなかった。
旅の初めに師匠(彼女)に出会い
旅のイロハを教わるなんて、
わたしはどれだけラッキーなのか!
トラブル対処・回避法、貴重品の持ち方など
いろいろ教えてもらったが
一番印象に残っているのが
携帯湯沸かし器・コイルヒーター。
ステンレスの加熱管からコンセントまで
全体の長さが60cm程度。
水を入れたマグカップに加熱管をドボンと入れると
あっという間にボコボコ沸騰する。
コーヒーや紅茶を淹れたり、
そのお湯でカップ麺もつくることもできる。
もちろん、共同キッチンに行けば
お湯を沸かすことはできる。
ホテルならばお湯を頼むことはできる。
だけど。
寒さがけっこう堪えると、師匠は言った。
「寒い時はこの湯気で部屋をあたためようとしたの!
カップの湯気であったまるわけないんだけど(笑)」
からだの中心をゆっくりくだる
お茶の温かさで凌いできたのだろう。
強いなぁ。
翌日、わたしは電器屋でコイルヒーターを買い、
旅が終わるまで大事に携帯した。
ドミトリーなのに宿泊客が少なく
独りぼっちだけど気楽な夜、
からだが疲れて出かける気分になれないとき。
お湯があるって、素晴らしい。
ボコボコとお湯を沸かしてお茶を淹れると
マグカップを両手で持った師匠を思い出して、
ちょっとほっこりしたのでした。