ほぼ水を含まないブルー

白樺, 24×19, 水彩絵具, 水彩紙

白樺, 24×19, 水彩絵具, 水彩紙



少し水を加えたプルシャンブルーを
たっぷり筆に含ませて
画面の根元からゆっくりと天に向かって
樹を生やすように

まだ水が残るうちに
インクが出なくなったボールペンの先で
幹に線を引く

すると凹んだ溝に水がたまり
濃い線が現れる

細い筆に替え
コバルトブルーを水で溶く
一度、色水を筆に含ませてから
溶き皿の端をなでて
その水を半分にする

根元からゆっくりと天に向かう



まっすぐ育つ白樺は
その白い木肌と
枝落ちした後に残る黒いシワ
そのコントラストが特徴で
夏の緑々しい景色の中ならとても清々しく
冬の白い風景なら凛として

その凛と清を描きたいな、と
思っていたんです、はじめは

樹を数本、描いたところで
紙地のままの白い背景と樹の青の
量と濃淡に違和感が

樹を描く際に
その白い木肌を表現しなかった
それはなんとなく、それで良かった

けれどきっとそのせいで
全体に、青が強く、偏っていた


両青を少しずつとって
大いに水を加えて薄い青を作り
太い筆に含ませて、背景に塗っていく
すうっと画面が陰る


この暗さでいいらしい


画面の右側、背景の1/4ほど塗ったところで
すぐにペン先で水を集めて
枝や、遠い位置の樹を生やす

さらに2/4を、3/4を同様に

そうして全面が埋まったら
中央上部を布で色水を吸い取る
青が引き取られて、もとの白が残り
明るくなる

布でちょんちょんとおさえて
青を拾うと光がうまれる


手前の一番太い幹が
やや乾いてきているので水で湿らせ
ほぼ水を含まないプルシャンブルーを
ポイントにちょんちょん置いて
にじむままに
ひろがるままに
 


とにかく白樺を描きたい
そう思って、4枚目

1枚目は天に向かうように
見上げるような二等辺三角形の縦構図だったし
白い木肌もまだあった

感覚の微調整をするように
2枚目、3枚目を経て
4枚目で構図が横にガラッと変わり
画面が暗くなった


木肌のコントラストは
凛と清も
どこかへ行ってしまった

白樺の林の中は
薄暗いし
空気で顔が
ひんやりするけれど



気分はいいのです







絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。