たしかにポテトは多すぎる

1997年 アメリカを渡る旅  サンアントニオ→ヒューストン


6時過ぎに目が覚めて支度をする
9時のバスでヒューストンへ行く

部屋のみんなはまだ寝ているので
コモンルームに移動
ごそごそとパッキングしていると
部屋から一人出てきた
昨日からよく声をかけてくれる子で
また二言、三言話す
彼女はメキシコシティへ行くらしい



サンアントニオはどんよりと曇り空だった

セントラルタイムゾーンに入ったので
時計を一時間進める

アラモの砦の大砲や
マーケットスクエアをまわってみたが
天気もタイミングもズレているのか
人出も雰囲気も静かで
それ以上の興味もわかず

サンアントニオの目玉だという
リバーウォークの看板を見つけて降りていくと
川幅は7、8m
その両側に石畳の歩道がある
そこを観光客が歩き
レストランのテラス席があったりして
夜はライトアップされるらしい

そういえば
フェニックスのYHで会ったごっつい男の子が
サンアントニオはすっげーいいけど
1人で歩くには少し寂しい気がする、と、
胸に一番と書いてある
黒いTシャツの彼が言ったので
可笑しかったのを覚えてる

サンアントニオに行った人たちは
みんなよかったというけど
それはどこ?
天気がよくないから?
1人だから?

わたしはこんなところで
何をしてるんだろう
そんなに急いでどうしようというのか
進んでいるけど
どうだっていうんだろう


お腹がすいたのでマックに入った
おお、この旅はじめてのマック
たしかにポテトは多すぎる






ホステルを出て
朝から混んでいるバスディーポへ
チェックインして
ヒューストン行きのバスに乗り込む


エルパソからのバスでも思ったけど
東に行くほど湿気が上がっていく
昨日、サンアントニオに着く直前に目が覚めると
木の葉が生い茂っていた

単純に緑の量が増えている

このバスの移動中にも
水分と湿度が上がっている感じがする

木の形も枝が曲がりくねっている
その曲がり方が
いかにも葉っぱが重そうな

川には水がなみなみと
畑が現れ、牛がいて、羊がいる
とても牧歌的な風景になってきた

道沿いにPOSTだけがぽつんと立っていて
そこから奥へと続く道があるけど
家まで見えない


隣に座ったおっちゃんはメキシカンだろうか
何を言っているのかさっぱりわからない
何か求められるので
へーとか、そーなのーと、頷く
途中、むせかえるほど匂いの強い
チーズCHIPSを食べていた


12時半にバスがヒューストンに着くと
おっちゃんはわたしの荷物を外まで持ってくれた
なんていい人
ありがとう


今日はヒューストン美術館に行って
ナイトバスでニューオーリンズへ行く

タイムテーブルをチェックすると出発は22時
かなり時間があるが仕方ない
荷物をコインロッカーに預ける

問題なく美術館に到着し
窓口で所蔵コレクションのチケットを求めたが
チケットが買えない

おかしい、と思い
別にあったinformationのカウンターで聞くと
どうやら明日から始まる
ジュエリー展と勘違いされたよう
誤解がとける

なんだよもー
でもよかったよー
と、心でつぶやきつつ展示室へ

コレクションはそれほど多くなく
ゴッホも1点だけだったけど
見たことのない絵で
見たことのない題材の風景画だった

相変わらず主張し続けるゴッホよ

他には、ルノワール、ヴェラマンク、
シュザンヌ・ヴァラドン、ユトリロ、
ボッティチェッリ、浮世絵!も、あった


美術館を出て歩いていると
どこからか演奏が聞こえてきたので
フラフラ歩いていくと
現代美術館の中庭でJAZZをやっていた

この美術館のフェスティバルのようで
入館料がフリー
スターバックスのコーヒーシェイク?を
サービスしている

こりゃラッキー!と思い
しばらくバンド演奏を聞いて、館内へ

現代アートはイマイチよくわからない

階下に降りると特別展のようで
日本人の個展だった

その男性の作家が変装したポートレート写真
マリリン・モンローになったり
マレーネ・デートリッヒ、ヘプバーン
ビビアン・リーなどなど
なりきっていて、なかなかおもしろい
山口百恵もいた

一巡して、外でシェイクをもらい
また演奏をきいた



バスディーポに戻ったが、あと5hもある
ケンタッキーで夕食、サラダもとる


バスを待つ間
日本人かなと思って声をかけたら
コリアンだった
日本語が上手なので2人でたどたどしく話す
彼もニューオーリンズへ行くらしい

ようやく時間が来てバスに乗り込む
あたりもすっかり暗い


東へ、東へ




5月〇日
ハガキ $1.40
ロッカー $2
美術館 $3
バス $2
夕食 $5.27
合計 $13.67


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こちらは、1997年の旅のお話です
場所や配置、状況などなど
現在とはおお~きく異なりますので
ご了承ください
当時の雰囲気をお楽しみください!
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絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。