その振り付けはまさか

1995年 ヨーロッパを巡る旅 フランス西部編

パリのモンパルナス駅で
2ヶ月振りの列車待ち

電車で西へ1時間ほど走ると
シャルトルという街があります

大聖堂が有名で、観光客も多い
そこで友人姉妹と待ち合わせています

友人もお姉ちゃんとふたりで
ヨーロッパを周遊中
お互いの日程をすり合わせ
フランスの西側を
一緒に巡ろうとなったのでした

姉妹はとても仲良しで
楽しいことが大好き
一緒にいて、とてもきもちのいい
大好きなふたり

無事、合流したわたしたちは
シャルトルからレンヌ、
モン・サン・ミッシェルへと向かいました

3人でゆく旅はとても楽しい

フレーバーチーズやバター、パンを買って
手分けしてサンドイッチを作ったり

レストランにも入りやすい!
レンヌでは、ガレットを
モン・サン・ミッシェルでは、オムレツを
みんなで食べる

駅でのすごく長い列車待ち
ひたすらぶらぶらと過ごす

次だけど
ここからボルドーまで距離があるから
もう1箇所いく?
ラ・ロッシェルは港があるよ
海を見に行くのは?
いいね、行こう


美味しいものを、美味しいねと
きれいな景色を、きれいだねと
シェアできるって素晴らしい


そんな珍道中もボルドーが最終地点
彼女たちは南仏へ
わたしはスペインへ向い
イベリア半島をまわるのです

最後の夜は予想通り
さびしさでいっぱいになりました

また、ひとりで行くのか
自分の荷物に目を光らせ
ひとりで車窓をながめ景色をみる

シェアしたくてもひとりだ

食べ切れそうにない食事を断念し
宿でひとり分のサンドイッチを作る

いっそ彼女たちについていきたいよ
やろうと思えば可能ではある

それは、ちょっとちがう
ちがうのは、わかってる


あぁ、さびしいなぁ


雰囲気は漏れてたのでしょう

他愛もない話から
翌日のそれぞれの出発時間の話になり
予定を確認したあと
お姉ちゃんがぽろっと言ってくれたのです

明日、晴れたらいいねぇ

それはほんとうにあたたかい
大丈夫、ちゃんと楽しいよ
大きなてのひらに
背中をなでられたような

そうだね、晴れたらいいな
ずっと見たかった景色を、見に行こう


翌朝、荷物をまとめて
みんなで駅へ

先発するわたしが列車に乗り込んで
見送りのふたりを窓から探すと
ホームにふたり並んで踊っている!

ん?
その振り付けは、まさか

おーきなくりのぉきのしたでぇ〜

えー!

あ〜な〜たぁとぉーわぁた〜しぃ〜

なぜー!

みんな見てるけど!

なぁーかーよ〜くうアソビましょ〜

あはは!
あなたたちは、ほんとに、もう

笑って、笑って
なみだがでる

なんて、楽しい時間だったんだろう!

ありがとう
行ってくるね〜!

あ、ここは一緒に踊るところ?!


おぉーきなくりのぉー木のしたでぇ〜

絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。