さよならカナダ、ただいまアメリカ

1997年 アメリカを渡る旅 ナイアガラフォールズ



緑の中をバスは走る

バスからの景色を
久しぶりに眺めているような気がする
ずっと夜行だったからなぁ

道沿いの木は北っぽい木
細く高く、若葉の色がとてもきれいだ

バスは12時前にバッファローに着いた
クリーブランドもそうだったけど
このディーポは広くてきれい
ほかのバス会社、市バスも入っているらしい

ここでもおじいちゃんに従い
バスの待列に荷物を置いて、順番を確保
市バスが$1.85だと言い、両替所まで教えてもらう

おじいちゃん、わたしのガイドだわ


一通り済ませトイレに行こうとしたところ
アジアンの女の子がいた
たしかクリーブランドから一緒だった
読んでいる本をひょいとのぞくと
吉本ばななではないか

声をかけるとやはり日本人で
彼女もナイアガラへ行くという
「わぁ~、よかったぁ~」と言われた
わたしも~

彼女はサンフランシスコから
北ルートでグレイハウンドで来たそうだ
この後はN.Y.を経由して南に向かい
ぐるっと一周するらしい
なかなかの強者だ

泊まる場所も決まっていないとのことで
ユースホステル(YH)の部屋を
シェアしようということになった

おじいちゃんにこの子も日本人だよと紹介したら
また「もしもし」をやりだした


市バスに乗りナイアガラへ

おじいちゃんが
あの川はなんだ、この川がなんだと
教えてくれる
ふ~ん、へぇ~と聞きながら

ナイアガラに到着し、おじいちゃんとサヨナラ
わたしたちは両替所へ行こうとしたが
日曜ということもあって
アメリカ側では開いているところがない
それならとにかく国境を越えて
カナダへ行こう、となった

川によって分けられている国境
そこに架かる大きな鉄橋を歩いて渡る

渡る途中でもう滝が見える
流れ落ちたところは水しぶきで煙に見える
おおおっっ!と言い合う

渡り終えて小さい事務所に入る
入口で¢25を入れて
地下鉄の改札のようにバーを押して入る
カナダのイミグレーションで簡単な質問に答え
パスポートにスタンプを押され、カナダに入国

わたしにとっては13か国目の国

国境を越えたカナダ側はまったくの観光地で
カジノあり、大きなホテルあり
車も人もごった返している
世界の観光地なのだ


両替所で換金し、YHの場所も聞いてみる
バスはあるかを聞くと
歩いたほうが良いと言われて歩き出すが
途中、一回休憩を入れたほど遠い

歩く間にもたくさんのB&Bがあり
1軒、聞いてみたけど2人で$60
わたしたちの予算は$20/1人
やっぱりね、と言ってYHを目指す

ようやくついたYHに運よく2人部屋があり
$17/1人
歩いてよかったねぇ~と、喜ぶ

それにしても
カナダにいるんだなーという実感がないが
ここはカナダ


ひと休みして、外に出たのは夕方5時
とにかく滝を見に行こうとバスに揺られていく
たくさんのツーリストでぎゅうぎゅうだ

滝に着くと、思わず走ってしまう

滝つぼ付近は常に霧状態

眼鏡にプツプツと水が付く

見ていた場所は水が落ちる正面で
すごい勢いで落ちてゆく

ドドドーーーっという音共に

ううーーーん、スゴイ!
しばらく眺めてしまう

ものすごい水の量と
それが落ちてゆく様子に吸い込まれそう

ひとしきり眺めたわたしたちは
滝の裏側ツアーに
参加することにした

入口でチケットを買って
黄色いカッパを渡される

それを被ってエレベーターに乗る
大人もみんな
子供みたいでかわいい

エレベーターを降りて進むと
水が落ちるすぐ横で
ものすごい迫力!!

ドドーーーっ!!

音と水のしぶきで
カッパを着ていても
足元は濡れてしまう

すごいねー!
すごいねー!の連発だ




さらに奥に進むと本当に滝の裏側で
下に落ちる水と
落ちて跳ね返ったしぶきが
ヨコからナナメから
こちらに迫るように飛び跳ねる

水が落ちる一連の動きが続いて
なんだか模様のようだけど
一度として同じ模様はない


見入ってしまい
ふたりともしばらく、だまる






イルミネーションがはじまる前に
夕食をとろうと繁華街へ向かう
値段や内容を散々迷ってメキシカンにした
美味しく量もあって満足したけど
とっても待たされた
バタバタと駆け寄ると
イルミネーションはもう始まっていた

赤やオレンジよりも
青や緑がきれい

普通のライトの方がきれいかもねーと言い合う
イルミネーションは、色がとっても人工的
それはそうなんだけど

なにはともあれ
今日は二人でよかった



腕時計はイースタンタイムに直したのに
目覚ましはセントラルタイムだったので
そのことにギリギリまで気づかないわたしたち
チェックアウト時間前に気づいて
キャーと大慌てで支度

今日は朝から霧で、滝もよく見えない
昨日、着いてよかったね・・
今日はふたりとも風邪気味で
そんなわたしたちにこの天気はツライ仕打ち

さよならカナダ、ただいまアメリカ

イミグレーションはあっけなく通過
アメリカ側に戻る

ふたりとも今夜の夜行で移動
けっこう時間があるということで
アメリカ側の滝を見に行く

滝のそばはとにかく寒い
どんぶらこ~どんぶらこ~と流れる水に
ぼ~っとする

しばらくすると本格的に雨が降り出した
雨なので暗くなるのも早く
市バスに乗り
さっさとバッファローに向かうことにした


バッファローのディーポに着く
彼女のバスは11時発、ボストン行き
わたしのバスは10時15分発、ワシントンD.C.行き
しゃべりながらお互いのバス時間をつぶす


その時間のあいだ
トイレに行って戻ろうとしたところ
な、なんと!

フラッグスタッフとエルパソで会った
あの男の子がいるではないか!

この人



最初はフラッグスタッフ、二度目のエルパソでは
たしか道ですれ違い、軽くあいさつして
気を付けて~と言い合った

二度あることは三度あるとは、まさに

お互いびっくりしながら
その後のルートを話していたが
彼のバスの出発時間が、10分後

なんだかいつも時間がない

少しだけ聞いた話では
グランドキャニオンへ行った彼は
ブライトエンジェルトレイルを下ったそうだ
(渓谷をくだり下層を流れるコロラド川までいける)
夕方4時半に着いた後に、だ

谷底のロッジは予約制で
さらに片道6時間かかることを
彼は知らず!! 歩いて行った
(調べないの?!)

しかし、やはり
警備員に戻れと言われ
また登って帰ってきた
崖の上に上がったのが夜10時を過ぎていて
結局、ホテルのトイレで寝たそうだ・・
あぁ、なんて人・・

三度も会ってしまい
さすがにアドレスを交換して
ゲートまで見送ると
握手を求める彼

なんか、いい人だ
(どうか気を付けて・・)



10:00を過ぎてやってきたのはN.Y.行き
やはりD.C.への直行ではなく、N.Y.経由か~

彼女、なおちゃんとN.Y.での再会を夢見て
さよならする


バスに乗り込むと
ちょっとガラの悪そうな団体が乗り込んでくる

もう、どうにでもなれ、と
少し重い頭で窓にもたれた


5月〇日
ボーダー $0.50
ブリトー $0.69
ロッカー $0.25
昼 $3.50
バス $1.85
夕 $6.20
合計 $12.99

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こちらは、1997年の旅のお話です
場所や配置、状況などなど
現在とはおお~きく異なりますので
ご了承ください
当時の雰囲気をお楽しみください!
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絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。