おやじ4人、若いの1人

1997年 アメリカを渡る旅 エルパソ←→ファレス




今日は川向こうのメキシコのファレスへ
同室ふたりとワクワクしながら歩き出す

El.Paso St を南へ進むと
10分くらいで大きな橋のたもとに着く
4車線こちら向きの一方通行
メキシコからアメリカへ入国する車が通る

歩行者は橋の両脇の歩道でボーダーを越える
メキシコ入国時に¢25を払う

朝のラッシュのせいかかなりの渋滞
橋を渡り終えて、しばらく南に進んでも
延々と車が続いてる

車1台に4,5人乗っている
その車の間を縫うように
アイスキャンディー、タバコ売りが歩いて
車に声をかけている

中には引越しかと思うほど
5枚も6枚もマットレスを積んだ軽トラがある


橋の上からこの通りを見た時に
キラキラと光っていて
車のフロントガラスかと思ったが
お祭りの時に見る
小旗を張りめぐらしたようなもの

この小旗、銀色の紙のせいだった


大きな通りにでると
バスが行き交い、人も店も増える

縦横斜めに通る道の両脇に
スーパー、靴屋(多し)屋台がひしめき合っている
信号はあって、ないようなもの

ポルトガルのポルトな感じ
生活の匂いがするゴチャゴチャ感がいい


あちこちに屋台を見つけ
食べてみようということになり
角にあるTacos屋台による

中で働いているのは
おやじ4人、若いの1人
おやじたちは手元を見ずに
トマトやアボカドなんかをトントン切って
素晴らしい手際で思わず見とれる

こういう屋台には必ず
大きなガラスポットのジュースがある
たいてい3,4種類あって
パイナップル、ココナツ、レモンがメイン
地元の人はココナツを好んで頼むようだ

ココナツを試させてくれたが
少しとろみがあってとても甘い
ヨーグルトドリンクのココナツ版といった感じ
なんとなく気が済んだので、レモンを頼む

できたタコスに
おやじおススメのソースをかける
・・・うまい!!!



それからは、ひたすら街を歩く
オラ!と声を掛けられ
少しずつスペイン語の単語がよみがえる

少し歩いただけだが
ボーダーを越えると
はっきりと違いがわかるものだ


お昼を過ぎたころ
リエちゃんはエルパソに戻るということで
オクちゃんとふたりで
さらにぶらつくことにする

ごちゃごちゃとした道を進むと
屋台長屋に出た
どこまでも続いていそうと思うとワクワクしてくる!

靴屋や小物、革製品などから
野菜、果物屋台にかわる
りんご、オレンジ、トマト
葉野菜、パパイヤ、アボカドと
色とりどりの食べ物がズラリ

とっても嬉しくなって歩いていると
屋台のひとつから声がかかって
オヤジが来い来いと手招きしている
なんだなんだと近づくと
マンゴーを手に取り
皮をむいて差し出してくれた
近くで見ていた若い店員が
テイストテイストという

おお!そうか!

もらって食べると甘くておいしい
皮はとても柔らかく桃の皮のようで
べろーんとむける
親指を立てグッドを作って
美味しいよ!と笑顔を向けると
オヤジが笑った

うまいぞ、ファレス


オクちゃんが
お金払えと言われるかと思ったと言っていた
払えと言われればその時はその時さ
それにそんな人には見えなかったよ


さらに奥へ進むと地元相手の店が増える
日用衣料になり、電化選品になり、家具になる

人の数も少し減り、子供が周りに居たり
近くに学校もあるようで制服を着た子も多い


おいしそうなパン屋があって
中には3,4人のおじさんがいたが
誰が店員で誰が客なのかわからない

とりあえず近くにいた人をつついて、パンを指さす
そして$1札を見せてOK?(使えるか)と聞いた
頷いたので使えるのだろう

大きなマフィンのようなもの
大きなサブレのようなもの
$1札を出すと
ペソのコインでお釣りが来た

店を出てさっそく食べると
まさにサブレ
ぼろっとこぼれそうになるけど
とてもおいしかった

パクパク食べながら来た道を戻る途中
きれいなじゅうたんがくるくると巻かれて
立て掛けられていた

色がいい


オクちゃんが水分をとりたいというので
小さな店で水を買う

わたしは店の中央にあった
大きなクーラーボックスでビールを見つけた
近くにいた店員に
美味しいの、どれ?と聞くと
1本取り出してくれた

¢45のそれを買ってさっそく飲むと
とっても軽くてスッと喉にはいる
アルコールも感じないくらい
熱い空気の中で飲むにはとてもよい

お酒が弱いというオクちゃんも
美味しいと言って飲んでいた


だいぶん歩いて2時を過ぎたので
戻ろう、ということになった帰り道

そうだ!ブリトー食べてない!!

と、思い出して
看板を探しながら歩いていると
一軒、見つけた

5人も座ればいっぱいになりそうな小さなお店
ノーマンロックウェルの
コーヒーショップの絵に出てきそうな
おじさんが一人でやっている

ブリトーをオーダーするとOKと言って
フライパンに火をつける
オニオン、トマトなどをさっと炒めて
焼いたクレープのような生地に
チキンペーストを炒めたものをのせ
くるっと巻いてくれた

出来上がるまでに常連らしき人が来て
店のおじさんと話していたが
わたしたちを見て話しかけてくる

ファレスは見たか?
奥まで見たか?

ガイドしようか?
なんだ、もう見たのか

ボーイフレンドはいるか?
日本にいるのか
残念だぁ・・・

という、基本的なヤツ



大きな橋にたどり着き
来た時と反対車線側を¢35を払って橋を渡る

アメリカ側には警備員がいて
入国チェックをしている
無事に通過し、ダウンタウンに向かう


なるほどこういう世界があるのか
・・と、オクちゃんがつぶやく



来る途中に見つけた古着屋で
街歩き用にショートパンツと白いTシャツ
フェニックスで置き忘れたブラシと
食料を調達してYHに戻った
シャワーを浴びると疲れたらしく昼寝した


同室の2人はエルパソから行ける
カールスバッドかホワイトサンズが見たいらしく
いろんなところに電話をかけまくっている

そんな話をぽつぽつ話ながら
12時に寝た


5月〇日
食ヒ $7.85
切手 $3.50
Tシャツとショートパンツ $2.14
ボーダー $0.60
クッキーとブラシ $1.60
合計 $15.69


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こちらは、1997年の旅のお話です
場所や配置、状況などなど
現在とはおお~きく異なりますので
ご了承ください
当時の雰囲気をお楽しみください!
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絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。