そうなんだ、ソファもいっぱいで

1995年 ヨーロッパを巡る旅・北部編

お、おお・・・、馬?
海辺で!

と、慌ててシャッターを押した。
こちらはオランダのデン・ハーグ

ユースホステルの4人部屋に入ると
先着の女性が2人。

「これから周辺を巡るけど一緒に行かない?」

二人連れから声を掛けられるのは珍しい。
24時間英会話教室だ!と意気込んでいた頃
もちろん、行きますとも!

二人はオランダ人で友人同士、
ほかの地方から遊びに来たという。
彼女たちの車に乗せてもらい、
海に来て出会った冒頭の光景。

さすがに北海道でも
このシチュエーションはないな・・・
まぁ、内陸生まれなんですけど。

海辺のカフェでビールを飲みながら
ぽつぽつ話をした記憶。

そんなに盛りあがった印象がないのは
わたしの語学力のせいか、
静かな海のせい、なのか。

ブルージュでのひとこま(馬つながり)


デン・ハーグを後にして、
向かったのはアムステルダム。

降りる駅を行き過ぎたことに気づき、
ちょっと後戻りしたアムステルダム。

夕方に駅に着き、いつものようにYHに向う。
しつこいようですが時は、1995年。
このころ宿泊施設の直前の予約は電話だった。
英会話集を棒読みのわたしは
何を言われているのか?までは理解及ばず
宿に直接訪ね、部屋を見つけていたのでした。
街で有名なお祭りやイベントがない限り、
ベッドの空きはある、はず

が。

今日はもう、ベッドの空きがないんだよ。
初めて言われたアムステルダム。

えっ、ええええええええ。

り、りありぃ?!

正確に覚えているわけではありませんが
絶対に言ったと思うほどの衝撃に続けて
更なる衝撃が


そうなんだ、ソファもいっぱいで。


えええええええええ!

共有スペースの?

ソファに?

寝かすの?!


もう何に驚いていいのかわからない。

落ち着け。

とにかく、
ここにわたしの寝床はない。
最悪、高額ホテルもやむを得ないが
旅の序盤なのでできれば避けたいところ。

どこか宿泊施設を知りませんか?と
フロントで食い下がっていたところ、
様子を見ていた日本人男子が
声をかけてくれた。

自分もここ(YH)断られて、
それで、他のホステルに電話して
さっきようやくベッドを見つけたんだよ。

ササキくん(だったような・仮名)
彼によるとこの日はイベントがあり、
アムステルダムの宿泊施設は
どこもいっぱいになるという。

そうなの?!
これか、イベントマジック。
でも、どうしよう・・・。

激しい動揺が漏れていたようで、
電話してないホステルがあるから
掛けてみようか?と、申し出てくれた。
えええ、いいの?!
お・・、お願いしますっ・・!
英語が話せるササキくん、
いくつか電話してくれた。

ベッドじゃないけど、いいかって言ってる。

イベントで街じゅう大騒ぎな街で
もう、野宿よりはいいだろう。
もちろん、いいです!
見かねたのかササキくん、
ついてきてくれた。

着いたホステルで
悪いんだけど、と案内されたのは、
階段を上がってすぐの踊り場的スペース。
手前にテーブルがあり、その奥に長ソファ。

やっぱ、そうか。
いや、大丈夫、さっきので、免疫が・・・、

けれど、ソファには女子が座っている。

ソファの横に毛布が積み重ねられている。
フロントマンはそれを指した。

こっちになるけど、いいかい?

もう、思わず笑ってしまった。
つられて笑ったソファの彼女が
ちょっと遅かったねと言った。
ちょっと早くてもそこだったんだね、
そうそう、
二人で笑いあった。



これ以降、
新しい街には午前のうちに到着し、
宿探しが第一の仕事となったので
宿泊施設の床で寝たのは
これが最後となった。



そういえば、その翌日だったか
アムステルダム郊外にある
ザーンセ・スカンスの風車村に行って
ペッパー入りのゴーダチーズに
えらく感動したのを思い出したのだけど、

一緒に行ったのはササキくんだった!
ね!

ササキくん、その節は
いろいろお世話になりました。

絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。