たぶんそういう係です

たぶんこのへん, 水彩 ペン



つい、声をかけたくなるけど
踏みとどまる

ふたり連れやグループであれば
相談相手もいるだろうけど
ひとり旅はちょっと気になってしまう


大丈夫?


えぇ、大丈夫
スマホがどこへでも連れて行ってくれる

むしろ
知らない人に声をかけづらい
いまは令和



そういえば
道を聞かれることも
なくなりました

最後に道案内したのは少し前
ゆいレールの県庁前駅

友人と改札に向かおうとしたところで
その改札から出てきた背の高い女性が歩いてきた
わたしに向かってまっすぐ

その確信に満ちた歩きっぷり
知ってる人だったかな?

女性がわたしの前で立ち止まった
だ、誰・・?!

国際通りはどっちですか?

あ、道ね

ちょうど背中の方向だったので
そのスクランブル交差点を左に曲がれば国際通りです
と、答えた

ありがとうございますと言って
女性は歩いて行った


隣にいた友人が
本当に道、聞かれてる!
びっくりしながら笑ってる

そうそう、このあいだ
よく道、聞かれるんだよね
と、話したんだった


わたしはどうやらそういう体質らしく
昔から道を聞かれる

住んでいる場所のみならず
ヨーロッパやアメリカを旅していた時でさえ
尋ねられるのだから
たぶんそういう係です


特に、パリ

空港に到着し、えぇ、それは初日

乗継ぎの地下鉄の駅で電車を待っていると
わたしより大きな荷物を背負っている大きな女性が
〇〇行きはどこのホームか?
というようなことを聞かれた

わたしが聞きたいくらいだが
数語しか覚えていない仏語でなんとか返事

Je ne sais pas
(わかりません)


またある時は
地上でも地下鉄の駅はどこかと聞かれた
わかるときはもちろん教える

Go straight !


セーヌ川沿いを歩いていると
スピードを落とした車から
道を聞かれたこともある

いやいやいやいや
単語も拾えないし仏語もわかりませんて!

I’m a stranger here !
(ここの人じゃないんで~)


てゆうか
わたし、どう見ても異邦人じゃん!
あからさまに旅人じゃん!
なぜわたしに聞く!

周りの人に聞いてみると
現地在住の留学生だと思われてるのでは
とのこと

あー

ん~

そういうことなら、まぁ


旅している時は
なんならわたしの方が聞きまくり
いろんな人に助けてもらった
宿まで連れて行ってくれたおばさんもいた

そんなこともあり
道を聞かれれば
なるべく対応するようになった


観光やビジネスで訪れる人も多い札幌でも
ノルマかな?と思うほど
コンスタントに道を聞かれ
同じ方向であれば途中まで一緒に歩き
時間が許す限り案内した

沖縄に来てからは
ネットも携帯も普及していたから
回数は減っていたものの
細々と道案内は続いていた

それも最近は
年に一度あるか、ないか

どうやら係も引退のようです



スマホで方向を確認できたようで
彼女は顔を上げて歩き出した

よかったよかった
どうぞご安全に

絵を描いて写真を撮り、文章にして、まわりのモノ・コトを描き留めます。